ヨガと筋膜

筋膜の役割

この数年、筋膜(Fascia)の研究が進んでいます。鶏肉の皮と肉をはがす時に、間にある薄い膜がありますよね。それが筋膜です。昔は、この筋膜は何の役目もしていないと思われていましたが、最近では体の動きや凝りに非常に重要な役割をしていることがわかってきました。

筋膜を体から剥がすと、 つま先から頭のてっぺんまで、まるで人間の一枚の抜け殻のようです。人間の身体は60~65%が水分ですが、それらを包み込んでグズグズに崩れないようにしているのが筋膜です。筋膜研究の重鎮トーマス・マイヤーは、それはミカンの袋のようなもので、果汁がひとつひとつが袋に入っており、さらにその中の果肉も小さな袋にはいっているのと似ていると説明しています。

筋膜最近、日本でも筋膜リリースという言葉をよく聞くようになりました。筋膜リリースとは、凝りが起きている体の部分では筋膜の層が固まってしまっているため、それをほぐしてあげることです。

柔軟な筋膜を維持するにはヨガがおすすめ

カリフォルニア大学で行われた筋膜の機能と動きに関する講義が非常に興味深かったです。内容を箇条書きにします。

痛みや凝りのある部分だけでなく全身を動かすことが大切

筋膜は頭のてっぺんからつま先までつながっているので、一部の筋膜だけにターゲットを絞って緩めるのではなく、全身をゆるめたり、鍛えたりしていくことが大切です。たとえば、足底筋膜炎の場合、筋膜は、ふくらはぎ、太ももの裏、そして腰から頭の後ろまでが、関連しているので、足だけでなく、他の部位も動かすことが大切です。全身の筋膜運動としてはヨガが非常に有効です。

筋膜の層をつなぐコラーゲンの劣化を防ぐ

筋肉は伸びないが筋膜は伸びます。しかし、筋膜を伸ばすには非常に時間がかかります。大切なのは伸ばすことではなく、リリース、つまり緩めることです。筋膜は、薄いティッシュペーパーを何層にも重ねたような状態で、各層には水分を多く含んだコラーゲンがあり、それが潤滑油のような働きをして各層同士が、くっつかずに、スムーズにグライド(滑るように動かす)するようになっています。しかし怪我や長時間の悪い姿勢、運動不足、加齢などが原因でコラーゲンは水分を失い層同士がくっついてしまいます。ですので、水分補給、睡眠と、できるだけ体を動かして筋膜の層を動かすことが大切です。

筋膜同士が滑るように動かなくなった状態とは、たとえば、いくつものタオルをぐちゃぐちゃに畳んで箪笥に入れると、引き出しがうまく閉まらないが、きちんと畳んで入れれば、簡単に引き出しがスルスルと閉まるのと同じことです。

特にひねる動き、ひねる力に抵抗するような動きが有効だそうです。

ヨガのポーズ:つま先からアプローチ

ヨガのポーズの中に正座のポーズがあります。英語ではThunder Bolt Pose(落雷ポーズ)と言います。椅子生活で育ったとは言え、日本人としては周りのアメリカ人に比べたら正座はお茶の子さいさいだし、あまりにも身近すぎてポーズと言えないようなポーズで、わたしの中では軽視してきたポーズのなのですが、ある時、しっかりと正座のポーズをしてから、他の難易度が高いと言われているポーズをした場合に、驚くほど身体がするすると動くことに気づきました。

正座では、足のつま先の筋膜がしっかりと伸びるので、それが、身体全体に影響を及ぼすことを実感しました。以前に紹介した、足の裏を伸ばすエクササイズと合わせて、毎日の練習に取り入れてみてください。

正座のポーズを楽に深める方法を紹介します。ヨガのブランケットがある場合は三つ降りにしたものを4枚重ねて、できるだけ膝裏近くに置いて正座します。(2枚しかない場合は4つ降りにして。一枚もない場合はバスタオルを重ねて。)ゆっくりと4呼吸。その後、一枚一枚薄くして、その都度4呼吸します。(写真左)

正座両膝、両下肢、両方のくるぶし、足の内側、親指をしっかりと密着させ、足指はしっかりと床を押します。(写真右)

ヨガブランケットまたはバスタオルをクルクルと堅く巻いて、膝裏近くに置いて座ります。かなり痛いと感じるかもしれません。痛気持ちいい範囲でやってください。

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