呼吸をともなったヨガで気を巡らす

最初は、ヨガのポーズから入る人が多いと思うのですが、ポーズに慣れてくると、体を効率的に使えるようになってきて、知らない間に呼吸が浅くなってしまうことがあります。そんな時は、もう一度「呼吸」に立ち戻って、動きに合わせて、ゆっくりと吸う息と這う息に意識を集中してみましょう。ヨガをした後の気分爽快感が全然違うことに気づくかもしれません。

おとといは、インドから訪れていたスワミ・ウメシュという方の呼吸ワークショップに参加してきました。自分の備忘録としてまとめておきます。

呼吸(Pranayama)と気、生命エネルギー(Prana)の関係

空気とプラナをピザに例えてみましょう。たとえばピザには、人にとって色々と栄養のある具材が乗っています。しかし、それらは口に入って体の中で消化されて初めて栄養となります。もし体の中に入らなければ、ピザの具材は栄養でもなんでもありません。空気もそれと同じで体に入って初めてプラナに変換されるのです。

左右の鼻腔

鼻腔はなぜ二つありますか?鼻腔は45分おきに、左右交互に活発になります。左の鼻腔は月/陰、右の鼻腔は太陽/陽です。ですので、右の鼻腔を塞ぎ左の鼻腔から吸う息は冷たく、右の鼻腔から吐く息は熱をもちます。一日に2回だけ、左右の鼻腔が同時に開く時があります。それは、日の出と日没の時です。ですので、宗教に関わらず祈りを捧げる時にこの時間帯を選ぶことが多いのです。

以前、ためしてガッテンでも鼻腔は、吸い込む空気を浄化し、適度な温度に暖め、湿気を与えるという三役をこなして大忙しのため、実は自律神経の働きにより2時間半おきに交互に開いて休んでいると言っていました。交代する時間は違っても、昔のインドの知恵で鼻が交互に通っているということがわかっていたのは驚きです。

プラナヤマ

サンスクリットで呼吸はPranayamaですが、PranaはLife Force「生命エネルギー」や「生命力」。AyamaはExtention「伸張」「拡大」またはControl。つまりPranayamaはExtention of Life Force、もしくはControl of Life Force「呼吸を利用して、生命エネルギーを拡張すること、またはコントロールするこという意味になります。

私達は酸素O2を取りいれ、エネルギーに換えてCo2として出す。正に呼吸の原理をParanayamaは表しているわけです。

呼吸の発見

ちなみに西洋科学による呼吸の発見は、今から350年ほど前のことで Pranayamaがパタンジャリのヨガ・スートラやハタヨガの教本に記述されたのは5~6世紀のことだそうです。西洋科学で最初に呼吸の仕組みに迫ったのはメイヨーというイギリスの医者でした。実験方法はこうです。

  1. ガラス容器に動物を閉じ込める。→動物は死んだ。
  2. このガラス容器に火を入れる。→火は燃えない。
  3. ガラス容器に動物と火を一緒に入れる。→火が消えると同時に動物も死んだ。動物は1よりも早く死んだ。

結論:動物の呼吸も火が燃えるのも、空気の中の同じ物質を消費しているからではないか。

この時、メイヨーはまだ酸素の発見までには到らず、ようやく100年後にフランスの科学者が、私達が息を吸うのは酸素を体に取り入れるためだとつきとめました。

特に、アメリカではポーズ中心のヨガが多く、呼吸が置き去りにされてしまっていますが、本当に大切なのは、呼吸によって体を活性化することなのです。同時にヨガの動きをすることによって、体に取り入れられた酸素は、より効率よく体の隅々にまで達し、変換され、エネルギーとなって体を駆け巡るのです。

体の調子が悪い時は頭が重くなったり、鼻が詰まったり、喉が腫れたりと体の一部になんらかの詰まりを感じますよね。精神的に落ち込んでいる時は、肩を落して、背中を丸めて、家では、ただただベッドの上に小さく丸まっていたかったりします。すっきりしない、ウツウツとした気分。正に気が滞って巡りが悪くなっている時です。呼吸を伴ったヨガは、そのような気の滞りを流してくれます。

日本の言葉の中の「気」

私はヨガをしていて、つくづく日本の言葉は素晴らしいと思う時があります。日本の言葉には、実にたくさん「気」を使う言葉があります。「元気がない。」場合には、気の元がないわけです。深く空「気」を吸って、元「気」に換える。なんと理にかなった言葉でしょう。その他にも、平気、短気、活気、正気、気がかり、気に病む、気が乗らない、弱気、強気、気が利く、気分転換などなど、実にたくさん私達は生活の中で気を感じているんですね。

呼吸のコントロールで感情をコントロール

さて、感情は必ず呼吸に影響を与え、浅くなったり深くなったり早くなったり、ゆったりとします。たとえば恐怖に怯えた時、呼吸は浅く早くなります。リラックスしている時は、自然と呼吸は深く、ゆったりとします。

これは人間だけではなく、たとえば、我が家の犬も、雷と花火の音が大嫌いで、この音が聞こえてくると、息をハーハーしてブルブル震えて机の下にもぐってしまいます。でも、人間が動物と違うところは、意識的に呼吸を深くしたり、浅くしたり、止めたりすることでコントロールできることです。そしてそれによって、、感情をコントロールすることができることです。たとえばステージに上がる前に緊張しまくっている人に、「深呼吸して!心を落ち着かせて」という言葉をごくごく普通にかけますよね。

呼吸は、人間誰しもが生まれてから死ぬ瞬間まで、普通に毎日しているものですから、通常は呼吸に特別な注意を払うことなど、あまりないかもしれません。呼吸の練習とは、呼吸に意識を集中することで、そして意識的に呼吸をすることで、たとえば体が怒りに満ちようとしている時、恐怖で体が固まりそうになっている時、不安で悪い考えが頭をぐるぐる回っている時に、それを沈めることを習うことです。

これは今、流行のマインドフルネスにも通じます。マインドフルネスは昔からある瞑想から宗教的な匂いを消して万人が利用できるテクニックにしてしまったものですが、呼吸に集中することが、やはり大一歩なのです。

ヨガにおいて、呼吸を意識的にコントロールする3つの重要性

1.さまざまなポーズとともに呼吸をすることでポーズ効果を深め心は瞑想へと導く
2.神経を落ち着かせる。または活力を増す。
3.体の一定の部位を心の目で見ながら呼吸をすることで、エネルギーの詰まりを取り去り、癒す助けとなる。

閑話休題

話をもと戻して、呼吸のないヨガは、もはやヨガではありません。次のヨガのクラスでは、是非、吐く息と吸う息をじっくりと味わってみてください。全ての瞬間がマインドフルネス、瞑想になります。

ヨガで本当に痩せるのか?

日本では、痩せるためにヨガをやるという人も結構いるようです。ヨガをやって痩せますか?という質問に関しては、その人の食べる量など普段の生活習慣もありますので、絶対に痩せるとは言えませんが、呼吸をしっかりしながらヨガをするなら、体が燃えやすくなることは確かだと思います。私は以前は、ジムフリークで、週に3~4回ジムで運動をしていましたが、5年位前にヨガに集中するためにジムをやめました。その時に、一番恐れていたのが、太ってしまうことだったのですが、反対にそんなに激しくヨガをしているわけではないのに、20代よりも体はすっきりとしています。これは絶対にヨガと呼吸のおかげだと思っています。やせることがヨガの目的ではないですが、副産物だと思います。

次回は、ヨガのポーズと呼吸のタイミングについての話です。

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