先週、3日間のデズレー・ランバーdesirée rumbaughのヨガ・ワークショップに行ってきました。デズレーは50代以上の女性をターゲットに、「戦士のヨガ」を提唱しています。普通50代以上のためのヨガと聞いただけで、「ゆるいヨガ」を想像してしまいますが、彼女のヨガは、その反対。徹底的に年齢に負けない強い体幹を作るヨガで、20代の参加者も大勢います。
インスタ映えヨガ
彼女は、もともとがヨガ講師にありがちな、そもそも非常に体が柔らかいという素地があって、ヨガに傾倒していったタイプの人です。(恐らく90%以上のヨガ講師はそうなんじゃないでしょうか。)若い時には、開脚180度とか、両脚を肩の上に乗せるなんて神業も簡単に無理なくできてしまったのでしょうが、年齢とともに、関節や筋肉や靭帯が悲鳴を挙げて故障をきたしてしまう講師が非常に多く、今、アメリカのヨガ界では、徐々にヨガのポーズは深ければ深いほど上級者であるとか、インスタ映えのするポーズがもてはやされる昨今の傾向は、いかがなものか?!と警鐘を鳴らすシニア・ティーチャーが増えてきています。
100歳までヨガをするために
現在50代後半のデズレーもその一人で、今回の講習会でも、私は本当は、もっともっと前屈したり後屈したりできるけれども、今はそれよりも関節周りの筋肉やコアマッスルを使い、100歳になってもヨガができる体を保つことに興味があると強調していました。
今回は3日間トータル8時間の講習会で、コアを意識しながらゆっくりゆっくりと動いて行くのですが、それでも皆汗だくになっていましたし、私も翌日には、腹筋がかなり痛かったです。
今回の講習会では、いわゆる三つのバンダをフル活用して、股関節や腰や肩の関節に負担をかけずにポーズを安定させながら深めることがテーマでした。
バンダとは
バンダと言うのは、Root Lock ロック、締める、縛るなどと訳されることが多いですが、私の師匠KATいわく、バンダとは元々インドで使われている水を低い土地から高い土地に導くために用いる堰(せき)のようなもので、ロック、締める、縛るなどの完全にせき止めてしまうイメージではなく、流れを導くイメージであるとのこと。つまりヨガにおけるバンダはプラーナ(気)を、ムラバンダ(会陰あたり)から、ウディアナバンダ(腹あたり)を通して、ジャランダラバンダ(喉あたり)でエネルギーを巡回させるイメージだそうです。バンダを通る気を火やそこから起こる蒸気に例える場合も多いですが、むしろ水の流れと感じた方がヨガ的にはしっくり来ると私も感じます。
デズレーのインストラクションでは、バンダという言葉を使いません(多分誰にでも理解しやすいように)。
- 足の親指から全ての指をしっかりとマットに押し付け、足の指を引き寄せるよせて土踏まずのアーチを作る。
- 両脚の脛(すね)を体の中心軸に向かって引き寄せ、(太ももの内側の筋肉はしっかりと硬くエンゲージされる。)それをキープしたまま
- 太ももの内側を後ろに引き、骨盤底を開き、同時に腰に自然なカーブをつくる。
- 下腹(Belly)を引き上げ引き締め、
- 肋骨(Rib)を引き込み、
- 最後に顎(Chin)を引く
という一連の動作が全てのポーズの中に大げさなほどに組み込まれます。
バンダをフル活用してみた結果
特に後屈(ラクダのポーズなど)とハンドスタンドにおいて、このテップを意識すると、腰にまったく負担なく後屈ができました。またハンドスタンドでは、いわゆるバナナと言われている現象、腰がバナナのようにUの字を描くことなく、安定感をもってスッと逆立ちをすることができ、ほぼ直線を保つことができました。
鶴のポーズでは、まるで上から風船で吊るされているように腕や肩への負担がまったくなくふわっと持ち上がりました。また、半月のポーズ、三角のポーズ、賢者のポーズなどで顔を上げずに顎を引き続けてジャランダラバンダを使うことによって、ポーズが安定するだけなく、体の内側の気の流れを強く感じることができました。
体が柔らかい人にこそ、試してもらいたい方法です。彼女のビデオは、Youtubeでいくつかアップになっています。ただ彼女の教えは日々、進化しているので上記のインストラクションとビデオのインストラクションが完全に一致していない点があります。
自分で試してみての注意点は、体の全面のコアを使おうと意識しすぎると、背中から腰にかけて丸まりがちになり、そこで力を入れすぎると反対に腰を痛める可能性があります。デズレーが腰のナチュラルなアーチを意識し続けるように言っているのも、そのためでしょう。
ただコアをここまで100%な感じで使うと、リラックスできないと感じてしまいました。でも下の動画では、一連の動作が意識せずにできるようになれば、体の内側は強く、外側はソフトになると言っています。