ヨガの後屈のポーズで腰を痛めない練習

後屈のポーズは単に腰を曲げることではない

ヨーロッパには古代ローマの美しい弧を描くアーチ型橋が今も、そのままの姿で残っています。鉄骨もボルトもない時代の石の橋が何千年もの風雨にさらされ続けても残っている理由は、全ての石が絶妙な弧を描いて支え合い、正に曲線力学にかなっているからだそうです。

石の一つ一つがが椎骨、橋全体が脊柱と考えると、やっぱり美しいだけじゃなく、丈夫でヘルシーな後屈は、ゆるやかな弧を描いていなければならないとわかります。たとえば中国の雑技団のように腰だけがUシェープに曲がり(体が非常に柔らかい人のみができる離れ業ですが)、背中はまっすぐというのは、腰への負担が計り知れません。秀吉の一夜城ならぬ一夜橋。とてもローマの古代橋のような耐久性は望めないでしょう。やがては必ず腰を痛めてしまうことでしょう。

以下は数年前に受講したヨガ・アナトミーの第一人者レズリー・カミノフ氏の講義で学んだことです。(Yoga Anatomy 「最強のヨガレッスン」の筆者です。)背柱は複数の椎骨からできています。首の部分が頚骨(7個)、胸の部分が胸骨(12個)、腰の部分が腰骨(5個)、そして骨盤部分の仙骨(5個の骨が癒着している)、退化したしっぽの尾骨(1個)です。英語だと上から、Cervical Spine, Thoracic Spine, Lumber Spine, Sacrum, Coccyx(Tail bone)です。

背骨を総動員

後屈(バックベンド)で使うのは頚骨、胸骨、腰骨で、無理のない後屈の最大値は、首75度、胸25度、腰35度で合計で135度になります。もちろん個人差も非常に大きいです。(私は、この数字を見て腰が案外曲がらないのだと驚きました。正確に言えば曲げるべきではないのだと驚きましした。)と、ここまでがカミノフ氏の講義内容です。

英語表現でIt takes a village(こどもを育てるには村人全員が参加する必要がある。)という表現がありますが、腰を痛めずに後屈をするには、It takes a village!首、胸、腰の骨、全部を最大限に活用する必要があるのです。その他にも背中やお尻の筋肉を強化したり、太ももの前の筋肉を緩めたりと、色々な要素も加わります。

ところが胸椎は、姿勢の悪さ、呼吸習慣、運動不足などにより動きが悪くなっている場合が多いです。胸椎の動きの悪い人が、らくだのポーズなどの深い後屈をしようとすると、結局、腰椎でそれを補おうとするために腰への負担が増します。故D.K.S.アイアンガ氏は、若さを保つために何歳になっても後屈を毎日することが大切だと言っていましたが、それは正しいアライメントで行ってこその恩恵です。そうでなければ、腰痛の原因になるだけです。私も以前は後屈の後は、必ず腰痛が悪化していました。

胸骨をゆるめるには逆流性胃炎と胃のもたれの治し方で紹介したポーズやコブラのポーズなどでウォームアップしていくといいでしょう。

胸椎の動きをよくする

後屈が苦手な人へのアドバイス

体の前面のウォームアップが大切

背骨のことばかり書いてきましたが、後屈が苦手な人に、まず試して欲しいのは、太ももの前の筋肉を伸ばすエクササイズです。詳しく言うと大腿四頭筋(quadriceps)と股関節屈筋肉(hip-flexors)です。私自身、後屈は苦手なので保障付です(笑)。腰椎がどうの、胸椎がどうの考えて後屈をするよりも、まずは体の前部分を伸ばしてあげると思わぬ速攻効果が出やすいです。肩と胸を開くウォームアップも忘れずに。

キング・アーサー英語だとキング・アーサーのポーズと言います。

  • 壁にお尻を向けて四つんばい。
  • 右膝を曲げて壁下の床に膝をつけます。
  • 右の脛からつま先までを壁にくっつけます。
  • 左足を踏み出します。(床に対して脛が90度になるまで。)
  • 両手は膝の上に置き背筋をまっすに伸ばします。

これだけでも、結構太ももの伸びを感じます。余裕があれば手をまっすぐ上に伸ばし、さらに余裕があれば、背中をそらして両手の先を壁につけます。

腰がそりすぎてしまわないように、尾骨を下げ下腹を引き込み引き上げます。みぞおちは凹ませるような意識を持って前に出すぎるのを防ぎながら胸と肩は開きます。

ラクダのポーズを深めるコツ

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